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◇人生にはモテる時期が3回来る? ブームの背景に「草食系」への慰めと励まし?
今年の新語・流行語大賞にノミネートされた言葉の中に、「おやっ」と思わせる一語があった。「モテキ」。文字通り「異性にモテる時期」の意味だが、ずっと前から口にしていたという方も多いのではないか。それが、なぜ今? 甘酸っぱい香り漂う恋愛用語を読み解いた。【平野幸治】
「君の会社の近くに来たんだけど、飲みに行かない?」
会社で残業中のマキコさん(33)=仮名=に電話をかけてきたのは男友達。恋愛対象外だったので断ったが、軽い驚きを覚えた。「また……」。当時、同僚3人からたて続けに告白され、大学の先輩からもデートに誘われていた。
「仕事が面白い時期だったし、結婚願望ありありのアプローチが苦手ですべて断りました。でも、それまでは恋愛に消極的だったのに、少し自分に自信が持てるようになった。その1年後に結婚できたのも、モテ期のおかげかも」
振り返れば周囲の結婚ラッシュが一段落し、残っていた自分にアプローチが集中したのかな、とも思うが、偶然に過ぎない気もする。
「現代用語の基礎知識2011年版」(自由国民社)の「モテキ」の項目には<モテ期。人生には3回の異性にモテる時期がくる、などという>とある。飲み会の席や友人同士で「それってモテ期じゃない?」「来たー、モテ期!」というように使う。
この言葉が恒例の「ユーキャン新語・流行語大賞」の候補に選ばれたのは、女性漫画家、久保ミツロウさんの作品「モテキ」が評判になり、さらにテレビ東京でドラマ化されたことが大きい。講談社の青年漫画誌「イブニング」(隔週刊)に今年4月まで連載され、コピーライターの糸井重里さんが「恋愛絵巻、『源氏物語』だ」「『愛と言うにはちょっと足りないもの』が描かれている。すごい」と絶賛。森山未来さん主演のドラマ(7~10月)も深夜枠ながら、放送批評懇談会のギャラクシー賞上期入賞作品に選ばれた。
主人公は派遣社員の藤本幸世、29歳。ある日突然、知り合いの女性たちから電話やメールが殺到し、ほとんど話したこともなかった職場の同僚の女性からもロックコンサートに誘われる。「これがモテ期か」と舞い上がるが、恋愛経験が乏しいだけに屈折していて不器用で、美女たちに振り回される(実は振り回している?)という物語だ。
モテ期が「ある日突然」訪れるという設定には、作者のある「メッセージ」が込められているのだが、そもそも私たちはどんなときにモテるのか。「どうやって」の研究は雑誌などで盛んだが、「いつ」というのは意外に難問だ。
○ ○ ○
作家の故吉行淳之介さんは「男と女をめぐる断章」で、吉行流の「モテ期」講釈をこうつづっている。
<一人の女性にモテているときには、やたらに他の女性にもモテはじめる。これはべつに不思議ではない。モテているときには、女性にたいしてガツガツしていないで、どことなく鷹揚(おうよう)な気配がある。そこが、女性の気持ちをそそるのである>
なるほど。「結婚したら、なぜかモテ始めた」という話も耳にするが、同じ理屈か。
作家の室井佑月さんは「私の場合は10代の終わりから20代の半ばまで、銀座のクラブでホステスをしていたころがそうです。要するに、モテ期をお金に変えちゃった」と苦笑する。「モテ期って、繁殖力のピークというか、生物として子孫を残したいという本能が最高に強まったときに来るものじゃないかしら」。こちらは「モテ期生涯1回」論とも言うべき説だが、さて。
総合病院に勤めるセイコさん(32)=同=は就職して4年がたったころにモテ期が到来。相手はいずれも職場の男性で、ドキドキしつつも疑問が浮かんだ。「毎日のように顔を合わせていたのに、なぜ今になって?」。ちゃんと話してみて気づいた。彼らは以前から恋愛サインを送っていたのに、仕事に追われて余裕のなかった自分が見逃していたのだ。「モテ期の多い人って、異性のサインを察知する能力が優れているのかも」とセイコさんは推論する。
○ ○ ○
一方、「モテ期」には「思春期」や「老年期」と同様に「待っていればいつか訪れるもの」という、どこか受け身の響きもある。実際、電通総研が今年、23~49歳の独身男女1996人を対象に実施した意識調査からは、まさに「受け身」そのものの現代の人間像が浮かび上がってきた。
まず、男性の75・9%、女性の69・3%が「付き合っている彼氏/彼女がいない」と言い、「3年以上いない」と「これまで異性と付き合ったことがない」の合計も同60・1%、49・9%に達するなど縁遠い実態が明らかに。ちなみに「彼氏/彼女がいない」群の7割以上は「好きな異性がいない」。つまり、片思いすらしていないのだ。
さらに「恋愛では積極的にアプローチする方か、相手からのアプローチを待つ方か」との問いに、女性の73・3%、男性の64・2%が「待つタイプ」と回答。男女のほぼ6割が「草食系」を自認していた。漫画「モテキ」では、ある女性が主人公に「あいつどこまで受け身なんだよ」「全部女に言わせてんじゃねーよ」とキレる場面があるが、現実には男女ともに「待ち受け状態」にあるのだから、恋愛が始まらないのも当然だ。
「今の日本男性は経済格差の拡大もあり、傷つくのを恐れるガラスのハートの持ち主が多い。一方の女性側も、そんな男性たちと関係を構築するのに疲れて『恋愛低体温』になってしまっているのです」。この調査を監修したジャーナリストの白河桃子さんは、そう解説する。
とすれば、「異性狩り」の意欲を失いかけた現代の独身男女にとって「モテ期」の3文字は、「待ってていいよ」という慰めの役割を果たしているようでもある。
○ ○ ○
だが、作者の久保さんのとらえ方は違う。「恋愛では、常に努力が報われるとは限らない。もちろん努力も大切ですが、それを超える運命があると思えば、ちょっと救われて気が楽になりますよね」と「ある日突然」を信じる効用を語り、こう続けるのだ。「漫画で描きたかったのは、実はその先。いかにモテ期を生かして行動につなげられるかです。その意味で、この言葉は私も含めてモテない人にとっては『おまじない』のようなもの。人生に期待をしていなかった人がモテ期をきっかけに他人と積極的にかかわろうとする力を持てたら、もっと楽しく生きられると思うんです」
モテ期なんて、ただの偶然の連続かもしれない。でも、その偶然に意味を持たせようと前を向いた瞬間に、モテ期は「言い訳」から「希望」に変わるのかもしれない
今年の新語・流行語大賞にノミネートされた言葉の中に、「おやっ」と思わせる一語があった。「モテキ」。文字通り「異性にモテる時期」の意味だが、ずっと前から口にしていたという方も多いのではないか。それが、なぜ今? 甘酸っぱい香り漂う恋愛用語を読み解いた。【平野幸治】
「君の会社の近くに来たんだけど、飲みに行かない?」
会社で残業中のマキコさん(33)=仮名=に電話をかけてきたのは男友達。恋愛対象外だったので断ったが、軽い驚きを覚えた。「また……」。当時、同僚3人からたて続けに告白され、大学の先輩からもデートに誘われていた。
「仕事が面白い時期だったし、結婚願望ありありのアプローチが苦手ですべて断りました。でも、それまでは恋愛に消極的だったのに、少し自分に自信が持てるようになった。その1年後に結婚できたのも、モテ期のおかげかも」
振り返れば周囲の結婚ラッシュが一段落し、残っていた自分にアプローチが集中したのかな、とも思うが、偶然に過ぎない気もする。
「現代用語の基礎知識2011年版」(自由国民社)の「モテキ」の項目には<モテ期。人生には3回の異性にモテる時期がくる、などという>とある。飲み会の席や友人同士で「それってモテ期じゃない?」「来たー、モテ期!」というように使う。
この言葉が恒例の「ユーキャン新語・流行語大賞」の候補に選ばれたのは、女性漫画家、久保ミツロウさんの作品「モテキ」が評判になり、さらにテレビ東京でドラマ化されたことが大きい。講談社の青年漫画誌「イブニング」(隔週刊)に今年4月まで連載され、コピーライターの糸井重里さんが「恋愛絵巻、『源氏物語』だ」「『愛と言うにはちょっと足りないもの』が描かれている。すごい」と絶賛。森山未来さん主演のドラマ(7~10月)も深夜枠ながら、放送批評懇談会のギャラクシー賞上期入賞作品に選ばれた。
主人公は派遣社員の藤本幸世、29歳。ある日突然、知り合いの女性たちから電話やメールが殺到し、ほとんど話したこともなかった職場の同僚の女性からもロックコンサートに誘われる。「これがモテ期か」と舞い上がるが、恋愛経験が乏しいだけに屈折していて不器用で、美女たちに振り回される(実は振り回している?)という物語だ。
モテ期が「ある日突然」訪れるという設定には、作者のある「メッセージ」が込められているのだが、そもそも私たちはどんなときにモテるのか。「どうやって」の研究は雑誌などで盛んだが、「いつ」というのは意外に難問だ。
○ ○ ○
作家の故吉行淳之介さんは「男と女をめぐる断章」で、吉行流の「モテ期」講釈をこうつづっている。
<一人の女性にモテているときには、やたらに他の女性にもモテはじめる。これはべつに不思議ではない。モテているときには、女性にたいしてガツガツしていないで、どことなく鷹揚(おうよう)な気配がある。そこが、女性の気持ちをそそるのである>
なるほど。「結婚したら、なぜかモテ始めた」という話も耳にするが、同じ理屈か。
作家の室井佑月さんは「私の場合は10代の終わりから20代の半ばまで、銀座のクラブでホステスをしていたころがそうです。要するに、モテ期をお金に変えちゃった」と苦笑する。「モテ期って、繁殖力のピークというか、生物として子孫を残したいという本能が最高に強まったときに来るものじゃないかしら」。こちらは「モテ期生涯1回」論とも言うべき説だが、さて。
総合病院に勤めるセイコさん(32)=同=は就職して4年がたったころにモテ期が到来。相手はいずれも職場の男性で、ドキドキしつつも疑問が浮かんだ。「毎日のように顔を合わせていたのに、なぜ今になって?」。ちゃんと話してみて気づいた。彼らは以前から恋愛サインを送っていたのに、仕事に追われて余裕のなかった自分が見逃していたのだ。「モテ期の多い人って、異性のサインを察知する能力が優れているのかも」とセイコさんは推論する。
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一方、「モテ期」には「思春期」や「老年期」と同様に「待っていればいつか訪れるもの」という、どこか受け身の響きもある。実際、電通総研が今年、23~49歳の独身男女1996人を対象に実施した意識調査からは、まさに「受け身」そのものの現代の人間像が浮かび上がってきた。
まず、男性の75・9%、女性の69・3%が「付き合っている彼氏/彼女がいない」と言い、「3年以上いない」と「これまで異性と付き合ったことがない」の合計も同60・1%、49・9%に達するなど縁遠い実態が明らかに。ちなみに「彼氏/彼女がいない」群の7割以上は「好きな異性がいない」。つまり、片思いすらしていないのだ。
さらに「恋愛では積極的にアプローチする方か、相手からのアプローチを待つ方か」との問いに、女性の73・3%、男性の64・2%が「待つタイプ」と回答。男女のほぼ6割が「草食系」を自認していた。漫画「モテキ」では、ある女性が主人公に「あいつどこまで受け身なんだよ」「全部女に言わせてんじゃねーよ」とキレる場面があるが、現実には男女ともに「待ち受け状態」にあるのだから、恋愛が始まらないのも当然だ。
「今の日本男性は経済格差の拡大もあり、傷つくのを恐れるガラスのハートの持ち主が多い。一方の女性側も、そんな男性たちと関係を構築するのに疲れて『恋愛低体温』になってしまっているのです」。この調査を監修したジャーナリストの白河桃子さんは、そう解説する。
とすれば、「異性狩り」の意欲を失いかけた現代の独身男女にとって「モテ期」の3文字は、「待ってていいよ」という慰めの役割を果たしているようでもある。
○ ○ ○
だが、作者の久保さんのとらえ方は違う。「恋愛では、常に努力が報われるとは限らない。もちろん努力も大切ですが、それを超える運命があると思えば、ちょっと救われて気が楽になりますよね」と「ある日突然」を信じる効用を語り、こう続けるのだ。「漫画で描きたかったのは、実はその先。いかにモテ期を生かして行動につなげられるかです。その意味で、この言葉は私も含めてモテない人にとっては『おまじない』のようなもの。人生に期待をしていなかった人がモテ期をきっかけに他人と積極的にかかわろうとする力を持てたら、もっと楽しく生きられると思うんです」
モテ期なんて、ただの偶然の連続かもしれない。でも、その偶然に意味を持たせようと前を向いた瞬間に、モテ期は「言い訳」から「希望」に変わるのかもしれない
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